製作記 

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塗装編
では塗装に入っていきます。まずは下地の木地調整をします。
今回トップ面は木地に直接色を塗りこむ木地着色をするので念の為#1000くらいまでパッドを使いながら研磨していきます。
生産ラインでは#800くらいまでです。
#150→#240→#320→#400→#600→#800→#1000と番手を上げていきます。
木地着色することで杢目に塗料が入り込んでグラデーションのように浮き上がって見え、立体感のある非常に美しい外観に仕上げることができます。トップ以外は#320まで木地調整します。

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塗りこむ塗料ですがシースルー系の塗料ではGGWとバンチャクという2種類の塗料があります。
この他にステインという塗料もあるのですが塗装場に無いのと密着が悪いということでこの2種から選ぶことになりました。
同じ黒でもGGWは黄色味の強い黒、バンチャクは青みがかった黒です。
ボディを切り出す時に出た端材を使ってカラーテストした結果GGWの方が狙った色に近かったのでGGWを使うことにしました。

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左がバンチャク、右がGGW

セルバインディング(以下セル)をマスキングしたら早速木地着色していきます。この時点で木地調整不足があると傷に塗料が染み込み浮き上がってきてしまうのでその際はその部位だけ研磨し直しながら進めます。サンドペーパーの当て方によっても研磨具合は変わってくるので単に番手を上げながら調整していくのではなく均一に磨いていかなければなりません。

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 次に布を使って塗りこんで行くのですがこのときシンナーで、多く塗料の乗ってしまった部分を拭き取りながら塗っていくと簡単にムラ無く着色できます。

トップ面が仕上がったら今度はバック面ネックのマホガニーの目止めという作業に入ります。
ウッドフィラーという砥の粉(とのこ)を木の導管と直交するように塗りこんでいきます。
このギターはバック面を黒っぽくしたいのでフィラーにオイルトナーという着色料を混ぜます。フィラーに着色すると木目が浮き上がって見えてくるという効果もあります。
乾くと色がかなり濃くなるので、少し混ぜるだけにします。割り箸の先を使って微量を垂らしながら色を作っていきます。
薄い灰色になったらやめます。

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この作業を1日3回繰り返したら1時間ほど乾燥させて余分な粉を軽く払い更に1日乾燥させます。
この目止めという作業をやらないと塗料が木地に染み込んでいってしまい凸凹した塗面になってしまいます。←メーカーによってやり方、手順は異なります。
次の工程サンディングシーラーと工程を入れ替えても構わないのですが今回のように着色している場合先に目止めしたほうがより自然に見えます。
また乾燥が不十分だと冬場などはフィラー内部の気泡が塗装時にブリスターやピンホールのような泡になって浮き出てしまうことがあるので冬場は充分に乾かすようにします。

 フィラーが乾いたら下塗りへと進みます。
使う塗料はオリジナル同様にポリウレタンで塗装していきます。
ポリウレタンと言っても近年は技術の進歩によりポリエステルなどの大量生産品とは異なり柔らかく木の振動を殺さないようなラッカー並みに薄く仕上げられる塗料が出ているのでそれを用います。
ヤニ止めにVローズという塗料を用います。このヤニ止めで木地の油分を止め塗料の密着をよくします。

1日2〜3回塗装、インターバル1〜3時間、1日乾燥させて次の工程に進みます。特に1回目は木が非常に塗料を良く吸うのでタレない程度に多めに吹いておくと良いです。

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乾燥させたら#320のペーパーとパットを使って表面のケバを軽く落とします。塗膜がほとんど無いのでやりすぎると木地が露出してまたヤニ止めから塗装し直しになってしまいます。

次の工程はサンディングシーラーという粘度の高い塗料を用います。この塗料で塗面のがたつきを無くしツルンとした
塗膜を形作ります。多少であれば肉厚を盛ることも出来るので最終的な木工のリカバリーをここである程度することも出来ます。
1日2〜3回塗装 インターバル夏場1時間、冬場は1.5時間、1日乾燥させます。

乾燥後#320のサンドペーパーとパッドで研磨を行い表面の細かい凹凸を取っていきます。
但しサンディング1回目の乾燥後はまだ塗膜が薄いので軽く表面を馴らす程度に留めます。やりすぎると容易に木地が露出し再度Vローズ、もしくはフィラーまで戻らなければならない場合もあります。残した足付けの出来ていない部分は#0000という非常に目の細かいスチールウールを使って足付けします。

この工程とサンディング塗装を3セット約3日繰り返したら最終的に#320とパッドだけを使い、表面を光にかざしてキラキラ光る部分が残らなくなるくらいまで仕上げます。そして次のカラーリングに進みます。

カラーリングはトップ面とバック面、ネックそれぞれで使用する塗料を分けます。トップは木地着色の時使用したGGW、バックはグレーぽい色味を出したいのでカラーテスト左側で使ったバンチャクを使用します(上記参照)
退色を防ぐ色止め(LC-30)とウレタン用シンナー(TU-40)を混ぜそれぞれ濃度の濃い溶液と薄い溶液2種類を用意しておきます。色が違うのでしっかりマスキングします。

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トップは木地着色してあるのですがここにくるまで空気に触れているのと下地塗装が上に乗ってくすんで来てしまっているので発色を良くする為、再度薄く塗装を吹き、外周にバーストをかけていきます。トップはすんなりきまりました。

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次にバック面ですがこれがなかなかきまりません。。。

 ネックは上手くグレーに染まってくれるのですが、ボディのホンマホの赤い色味が強く、どうしても茶色ぽくなってしまいます。

結局苦心の末、ワンカラーシースルーは止めバックにもバーストをかけ陰影で暗めに見せることにしました。

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マスキングを剥がしてセル掻きをします。セル掻きというのはバインディングの上に乗った塗装をカッターの刃などを使い削ぎ落とすことです。

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あとはトップコートをかけて塗装工程は終了です。

1日2回塗装、インターバルは夏場3時間、冬場4時間、その後丸1日乾燥させます(冬場は2日)
トップコートは乾くのが遅く容易にピンホールなど泡が吹いてしまうので吹きすぎないよう細心の注意を払います。乾燥後#800の耐水ペーパーを使い水に漬けながら水研ぎを行います。

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この工程をおよそ3セット3日間繰り返したらバフがけに進みます。

バフがけの前に石けん水を使って#800→#1000→#1200→#
1500と番手を上げ傷を細かくします。
各番手の傷が取れているか確認する為、番手ごとにかける方向が直交するようにします。

終了したらバフィングに入ります。ボディにコンパウンドを塗り高速で回転するバフ(丸い目の細かいネル布が何枚も重なったもの)にボディを押し当てて耐水ペーパーの傷を取っていきます。
最初は#1500の傷を取るように直交してかけ、ある程度取れたら縦横無尽にかけて磨いていきます。当て方によって磨き具合が換わるので注意を払います。
次はバフについたコンパウンドを剣山みたいな大型のブラシで飛ばしメンチルワックスという固形ワックスをバフに直接押し当てて塗りこみ、ワックスがけをしながらさらに磨きをかけます。
その後先ほどのブラシでバフからワックスを飛ばして空バフをかけ余分なワックスを落とし仕上げの磨きをしていきます。ここまでくればかなりビカビカです!

トドメにバンガードワックスという青い水溶液状のワックスをボディ、ネックに直接延ばし乾燥させた後、極細繊維のクロスを使ってふき取って仕上げます。

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