製作記 

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ボディ編 
 

前はアルダーでしたが、今回使う材はスワンプアッシュです。
スワンプアッシュというと自分は迷わずエディのストラトを想像するのですが(ホワイトアッシュという説もありますが軽いということなので自分はスワンプアッシュだと思います。)
今回はFenderが2000年初頭に出したJimi Hendrixのトリビュートモデルを参考に随所に自分なりの味付けをしていきたいと思います。かなり入り組んだ杢目を選びました。なんとなくフレイムぽい杢が出てます。杢が出ているギターが大好きです。
ギターの形になった時どのような杢が出るのか楽しみです。

ではまず平面出しをします。
鉋を使って60cmのスケールを板のどこに当ててもびったりつくまできっちり出します。
あらゆる加工の基準面になりますから妥協できないところです。
スケールを当てたまま光にかざした時、ほんのわずかでも光が漏れてくるようではダメです。
鉋を使い、まず対角線上の平面をきっちり出し、その後縦横をつないで行くようにします。
製作当時のメモが出てきたので記すと

1.鉋(カンナ)などの道具の仕立てを正確にこなす。
2.先に対角線を平面出しし、縦横をそこにあわせて削っていく
3.高いところを削って落ちている平面に合わせる。
.面で一番高くなっているところを把握し出来る限りそこから削って調整するようにしていく。
5.微調整はすり板で潰すように。

ということらしいです(笑)すり板というのは基準となる平面を出してあるメイプルの板のことです。
ガラス板にサンドペーパーを貼ってその上で研磨して作成しました。

平面が出たらプレーナーにかけて厚みを出します。
基準面に平面が出ていないとプレーナーにかけたとき機械が途中でストップしてしまいます。
厚さは45mmです。このあと機械加工の傷をカンナで取っていくので規定値よりわずかに厚くなるようプレーナーを設定しておきます。もう片方の面の平面を出したら、センター線を罫書いてボディのテンプレートを置き、外周をなぞります。
テンプレートはルーター加工用に-3mm小さく作ってあるのでその3mm外側に実線を大体のところで罫書きます。

今度はバンドソーを使ってその実線のラインの2〜3mm外側をラフカットしていきます。
決して実線を割ってはいけませんが、怖がってあまり残しすぎるのもダメです。ギリギリ攻めておけばこの後のルーターでの加工が楽になりますしチップなどの不測の事態が起こるリスクを最小限に抑えることも出来ます。プロは1ミリ有るかないかくらいまで攻めます。

ラフカットが終わったら再びテンプレートを貼りつけて今度はテーブルルーターで外周を抜いていきます。
ルーターのガイドは+3mmで作られているのでちょうど実際の寸法に正確に合うというわけです。
一回に削る深さは3mm多くて5mm。刃に負担を掛けないよう少しずつ掘り進めます。外周が抜けました。

次にR付けをしますこの時点で右用か左用どちらになるのかが決定します。
ですので絶対間違えないようにしなければなりません。間違えるとジョイントプレートが乗らなくなります。
バック面はカッタウェイの途中でRを止めなければなりません。詰めは手で削り出します。
何回確認しても大丈夫かどうか心配になります(笑)

Rつけが終ったらネックジョイント部をザグリます。今回ネックは支給品の半加工されたものを使うのでそれに合わせて3mm厚のアクリル板で治具を作ります。治具が出来たら要らないベニヤの端材などを使い試し掘りをして実際にネックを仕込んでみます。手を離してネックが落ちてきてしまうようではダメです。全面がぴったり隙間無く接しているかどうかを確認します。治具は精度を良くしておかなければなりません。
ここの精度が楽器としての質を左右します。

ネックジョイントが掘れたので実際にネックをはめ込んで0fから648mmの地点にスケールポイントを罫書き製図どおりにアッセンブリーのザグリを書き写していきます。その後そこにぴったり合うよう予め作っておいた各ザグリのテンプレートを乗せてアッセンキャビティ、トレモロハウジングなどをザグッて行きます。一緒に裏返してバックのスプリングキャビティのザグリも入れます。

それが終了したら今度はコンター加工に入ります。
鉋を使います。小さい豆平鉋があると便利です。エルボーをTOPの平面からなだらかな曲線を描いて落ちるように削って行きます。
エルボーコンターの横方向にはスケールを当てたときどこで当てても直線になるように加工しないと不恰好です。
落ちる深さは年代によって異なるようです。まだ手作業でほとんどこなしていた50、60年代の物はエルボーも深く3D的な美しいラインですが、CBSに買収された70年代に入ると工作機械が入り浅く作業効率の良いデザインに変わっていきます。
今回はジミヘンモデルなのでイメージを掴む為、ヴィンテージストラトだけしか置いて無いので有名な東京神田の某店にお邪魔して、67〜70年の浅いラインの実物を実際に見に行ってきました。
100万〜200万クラスの普通の楽器店ならまず厳重にガラスケースに入っているような本物がガラスなしで普通に壁にかかってます。実に壮観な眺めでした。

さて気を取り直してバックコンターです。
コンターのラインを罫書きノコギリを使って切れ目を細かく入れていきます。その切れ目に沿って叩きノミとゲンノウを使ってコンター部分を落として行きます。落とし終わったら南京鉋を使って整形します。スケールを当ててコンター内部の横方向に直線を出すのはエルボーと一緒です。

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 あとはR部分の機械傷を馴らし自然なラインが出るよう加工したらボディの大掛かりな木工は終わりです。
ボディ加工で注意しなければならないのは平面を大事にするということです。滑らかなラインを追求するあまり平面とRの境目がどこか分からないような造形をしてしまうとシェイプがぼやけて不恰好なギターになってしまいます。平面と平面がRで繋がっているということが分かることが重要です。

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 木工が終ったのでこの後塗装に入る為の木地調整をしていきます。シースルーなので#320までサンドペーパーがけをします。
#150→#240→#320と進めていきます。各番手の最後の段階でそれぞれが直交するようにします。こうすることで前の番手の傷が消えたことを確認しながら作業が進められます。#320の傷を縦の木目に隠す為、各番手を縦横縦の順でかけます。こうすることで傷が目立たなくなります。反対にすると塗装後に傷が浮き上がってきて汚く曇ったような仕上がりになってしまいます。

この後は塗装に入ります。



リフィニッシュ&ボディカスタマイズ編

リフィニッシュする為トップコートを剥がします。
ドライヤーで塗装を柔らかくしながらノミをトップとサンディングの層の境目に食い込ませるとスーと刃先が前に進みます。
出来る限り前の塗装のサンディングの層を残しておくとリフィニッシュ時は楽です。(同じ種類の塗料を使う場合)

前回の完成後の試奏で思いのほかハイポジションが弾き辛い…というかノンカッタウェイのアコギを弾いているような感覚でほとんどハイフレットに指が届かなかったので、
ジョイントプレート周辺にコンターを入れることにしました。
TUBEの春畑氏の所有レフティストラトを参考に実際に本人の加工をしたというSEENで有名な松下工房にお邪魔して情報収集してきました。
そっくり同じように削ってみました。これでハイポジションが弾きやすくなったとはいえませんがなんとか手が届いて演奏できるようになりました。フィラーは一度全て取り再度入れなおしました。

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